前回の記事では、スクラムが机上の想定より実際の経験を重要視していること、実際の経験をどのようにその後の取り組みに活かすかということについて書きました。今回は、その背景にあるスクラムの考え方を家庭学習に照らし合わせながら紹介します。
効果的なスクラムは、以下の3本の柱の上に成り立ちます。
・透明性
すべての状態をチームメンバーが確認できる形になっている必要があります。それは、計画に対してどこまでできたという結果だけでなく、チームメンバーの感じている問題など、プロセスについてもチームで共有されている必要があります。家庭学習では、学習の目標や計画、達成状況だけではなく、特に子供の気持ちを把握することが必要と思われます。どうすればより良い結果を生み出せるようになるか等、なるべく子供から引き出すようにして、子供が自分の意見を言いやすい状態にしておくことがとても重要と思います。
・検査
なるべく短い期間で成果についての検査をします。検査を行うことで、期間内の成果が本当に価値のあるものかを確認することができます。家庭学習では、例えば、1週間の目標を達成できたかを確認し、できなかった時には何が問題だったか、どうすれば改善できるかを考えます。また、できた時にもなぜ上手くいったか、どうすればもっと良くなるかを考えます。短期間で成果を確認することで無駄な時間を減らし、効率的に学習を進められるようになります。
・適用
検査によって目標を達成できなかったことが分かった時や、何らかの理由により目標を変更することになった場合、スクラムでは都度都度計画を見直します。これは悪い意味だけではなく、良い意味の変更にも当てはまります。例えば、振り返りとカイゼンを続けた結果タスクをこなすスピードが大幅に上がったというケースや苦手だったことが得意になったというケースなどもあると思います。プラスの意味での適応をするためにも検査と振り返りを短期間で繰り返すことが大切と思います。
以上の3本柱を実現するための考え方・気持ちとして、以下の5つの価値基準が挙げられています。
・確約
家庭学習で親子は1つのチームとして、1つの目標に向かいお互いに助け合って進んでいくという姿勢が必要になります。
・勇気
何らかの事情で計画を変更しなければならなくなったときや子供が自分の意見を出したときは、それを否定するのではなくきちんと受け止める必要があります。また、子供が難しい問題に取り組む気持ちを持てるように勇気づけることも大切です。
・集中
学習に取り組む際にはとにかく目の前にある問題に1つずつ集中して取り組むことが重要です。基本的に、一度に複数の問題を考えさせないようにしてください。また、子供が最大限集中できる環境を整えることは必要不可欠です。
・公開
学習の取り組みについて、問題となっていることや邪魔なものなどについて子供がリクエストしたときは、すぐに対応するようにしてください。そのような問題を子供ができるだけ言いやすい状態にしてください。
・尊敬
子供を、能力のある独立した人間として扱ってください。なんとなくですが、日本人にとってこれが一番なじみがないような気がします(親子関係だけでなくても、学校での教師と生徒の関係や会社での上司と部下の関係でも双方向で、尊敬というか、敬意を持った関係になっているのはあまり見たことがない気がします)。スクラムが目指すのはチーム(子供)が目標に向かって自分で課題を見つけ、自分で解決し、価値を生み出し続けるという姿です。子供の自律は必要不可欠になります。
以上です。これらについては、もちろん元(ソフトウェア開発)のスクラムガイドでも書かれていますので、そちらも参考にしてみてください。
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